普門寺の現本堂は、弘法大師御入定1150年御遠忌の年、昭和59年10月に、中川の改修工事の為、木曽根から南川崎の地へ移ったおり建立されました。
鉄筋銅版葺き 唐破風(からはふ)造りとなっております。
本堂内陣には御本尊様不動明王像、その両脇には両部大日如来像が祀られており、両祖大師像(弘法大師・興教大師)、普門寺の中興の祖として讃えられる唯阿僧正像などが安置されております。
普門寺の観音堂には正観音座像が祀られています。
観音様は色々姿を変えて、民衆を救ってくださる仏様です。古くから日本人の心のよりどころとして信仰されています。
また観音様は人々の苦悩に応じて三十三身に姿を変えます。
三十三という数は『観音経』の中の「法華経普門品」にみえるように、観音様が三十三種に身を変えて、人々を救ったことによるものとされています。
日本の観音信仰はいわゆる札所巡りとしても盛んです。坂東三十三ヶ所、西国三十三ヵ所、秩父三十四ヶ所の百観音をはじめとして、全国に数多くの札所があります。
普門寺は武蔵国三十三観音の第十九番札所となっており、12年に一度、午の年に観音様のご開帳が行われます。
現在の普門寺の山門は、旧普門寺の境内の山門をそのまま移設したものです。
山門には扁額(へんがく:門戸や室内に掲げる横に長い額)が掲げられており、「大悲山」と書かれています。
「大悲山」とは、普門寺の山号です。
この扁額は文政13年(1830)に作られました。また扁額の銘文によると山門は寛政11年(1799)に建立されております。
樹齢350年
「多行松」とはアカマツの園芸品種の事で、根元からたくさんの枝を出してかさを広げたように茂り、高木にはならない性質をもっています。
種で繁殖させると同じ性質を持ったものができにくく、接ぎ木で殖やします。
普門寺の多行松も、江戸時代に埼玉県安行地方で作り出された多行型の枝を接いだものであると言われています。